ニングルテラス森の鍛冶屋用語集

ニングル
作家・倉本聡氏の著書「ニングル」に登場する昔から北海道の森に住む、身長15センチくらいの「森の知恵者」。アイヌ語でニンは縮む、グルは人の意味。
鍛造:たんぞう
金属を打撃・加圧することにより、目的の形状を造る製法。内部組織が緻密で均一になるため、引張り強さ、硬さが増す。
鋳鉄:ちゅうてつ(鋳物:いもの)
鉄中の炭素量(C)が2.6から6.67%の合金。 また、ケイ素(Si)により鋳物の材質に違いが出る。その鋳物の材質にはいくつかあり、できた製品の引張り強さや硬さなどで分類している。そのため合金といってもJIS規格では成分により分類されてはいない。
シースナイフ
ブレードとタング(ハンドルの中にある芯)が一枚の鋼材からできているため、衝撃に強い。フィックスブレード(固定刃)とも呼ばれる。シースとは、革や化学繊維でできたナイフを入れる鞘で、これに入れることからシースナイフと呼ばれる。
フォールディングナイフ
ハンドル内部にブレードを折りたたむことができるナイフ。ブレードがハンドルの中に納まるので安全に持ち運べる利便性があるが、強度的にはシースナイフに劣る。最近では、ブレードをロックするロックドフォールディングナイフが一般的。
ハンドル
ナイフのグリップ。手で握る部分。材質は象牙から金属、プラスチック、ゴムなどと多種多様。
タング
ハンドル材を取り付けるための金属部分。フルタング(ハンドルと同じ形のタング。ハンドルはタングを挟み込むような形で固定。極めて堅牢だが錆が出る可能性もある。)、テーパードタング(フルタング構造だが、重量バランスを取ったり、軽量化するためにハンドルエンドに向かってタングをテーパー状に削る加工法。作業に時間と技術を要するため高価になる。)ナロータング(タングの部分の巾がハンドルの幅に対して狭くなっているもの。)、ハーフタング(ナロータングの一種で、タングを半分削ってハンドル材で覆うタイプ)など。
ナロータング
タングの部分の巾がハンドルの幅に対して狭くなっているもの。穴を開けたハンドルにタングを差し込み、エポキシ系樹脂で接着する方法と、バット部からねじで締めて固定する方法がある。強度が高い。ランドールが多用する。
バット
ハンドルの後端。日本刀用語では柄頭。ハンドルエンド、ポメルとも言う。
鋼材
ナイフ鋼に求められるのは耐蝕性、靭性、耐摩耗性、硬度などだが、あちらを立てればこちらが立たずといった具合。これらの特性は鋼材の添加物~炭素(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、燐(P)、硫黄(S)、クロム(Cr)、モリブテン(Mo)等の含有率の違いによる。
・耐蝕性:腐蝕、錆に対する強さ。
・靭性:衝撃に対する強さ。
・耐摩耗性:刃持ちの良さ。
・硬度:刃持ちの良さ。切れ味。
鋼材2(含有物)
含有元素の特性。
・炭素(C)
 硬度、耐摩耗性、引っ張り強度、切れ味。1.5%以上になると脆くなり易い。
・クロム(Cr)
 耐蝕性。
・マンガン(Mn)
 耐蝕性。多すぎると硬度が上がるが、脆くなる。
・モリブテン(Mo)
 粘り強くなる。刃こぼれが起こりにくい。加工性、研ぎやすさに優れる。
・ニッケル(Ni)
 靭性、硬度、耐蝕性。
・リン(P)
 強度、硬度、加工性。多すぎると脆くなる。切れ味に不利。
・硅素(Si)
 靭性。切れ味に不利。
・イオウ(S)
 加工性。低コスト化。
・タングステン(W)
 硬度が高くなる。靭性。
・バナジウム(V)
 硬度、靭性。組成が細かく均一化される。研ぎやすく刃持ちが良くなる。
・コバルト(Co)
 硬度が高くなる。
D-2(SKD-11)
高炭素のため刃持ちが良く、耐摩耗性にも優れる。クロム含有率が低いため錆にはやや弱い。ミラー仕上げが難しい。ダイス鋼。(HRc 60-61)
ATS-34
耐蝕性、靭性、耐摩耗性、硬度などあらゆる面で優れた特性を示す。154CMを基に、対腐食性を高めるためクロームを、切れ味を良くするために炭素を多く含有させた、日立金属工業が開発した高級鋼材。(HRc 60-61)
154CM
元々ボーイング707機のベアリングに使われていた鋼をラブレスがナイフ鋼材として使用し、以後ATS-34が開発されるまでカスタムナイフに多用された。米クルーシブル社の商品名。(HRc 60-61)
440C(SUS-440C)
代表的なナイフ用鋼材の一つで、炭素の含有率に応じてA.B.Cのランクに分けられ、最も高炭素の物を440Cと呼ぶ。クロムを多く含むので耐蝕性に優れるが、実用硬度はやや低い。反面、研ぎ易い。元々船舶のベアリング等に使われていた。JISでもAISI(アメリカ鉄鋼協会)でも同じ表示。(HRc 57-59)
O(オー)-1
ランドールが使っている炭素鋼。炭素鋼のため、錆びやすい。しかし、切れ味は抜群。(HRc 60-61)
ダマスカス
2種類の金属を重ね合わせて作る鍛造鋼。鍛造の課程で何度も折り返しや切り返しを重ねるため、何層にも積層され独特の縞模様が形成される。ダマスカスは現在のシリアアラブ共和国の首都。この地方に伝わる鍛造法に由来。
硬度
モース硬度が有名だが、ナイフはロックウェル硬度(HRc)を用いるのが一般的。
ステンレス
鋼材は、ステンレス鋼と炭素鋼に大別され、酸化防止のためにクロムを13%以上を含む物をステンレス鋼、13%以下のものをセミステンレス鋼、クロムを含まない物を炭素鋼と言う。
熱処理
・焼きなまし
赤めた温度からゆっくり冷やす処理で、軟らかくすることが目的。この処理で鋼は完全に軟らかくなるので、完全焼なましともいう。
・焼き入れ
赤めた温度から急冷する処理をいう。水冷、油冷、空冷がある。
・焼き戻し
焼き入れしたものは硬いが脆いので、硬さを下げて粘り強くしたり、耐磨耗性をアップするために行う焼入れ後の再加熱処理。
アイアンウッド(デザートアイアンウッド)
メキシコの砂漠地帯で採れる。色は赤褐色、木目が緻密で非常に硬く強靭で絶対に腐らないという特性を持つ。ウッドハンドルの代名詞。
カリン
タイ、ビルマに分布しマメ科の落葉大高木。暗紫色から暗褐色であるが、日を経るにしたがって暗色になる。硬度はあるが加工が容易。特に瘤は複雑な縞模様が特徴。
ローズウッド
インド、インドネシア、ミャンマーに分布。マメ科で油脂分が多く目が細かくそろっている。赤味の強い茶色に黒褐色の縞模様。紫檀とも呼ぶが、木材業界では紫檀とローズウッドは別物としている。加工はしやすく、かすかにバラの花のような香りがある。
紫檀(シタン)
インドからインドシナにかけて分布する。紅紫色から暗紫色・黒色・赤褐色などの縞が連なり、外気にさらして年月がたつと濃くなる。肌目はやや荒いが、緻密で切削・加工はやや困難、磨くと光沢が出る。
黒檀(コクタン)
東南アジア、アフリカで採れる。柿の木の仲間で種類により、黒色、桃色と黒色の縞模様など黒色が基本ではあるが、樹種により幅広く異なる。重くて硬く重硬で、切削・加工は困難。
ジグドボーン
牛のスネの骨を使ったハンドル材。
マザーオブパール
白蝶貝の貝殻。白く輝く美しい真珠色。主にフォールディングナイフやインレイ用に使う。
マイカルタ
ハンドル材。接着剤と繊維質のものを重ねて押し固めたもの。キャンパス、リネン、ウッド、アイボリーなど様々な種類がある。
インレイ
ハンドル材に、模様やネームプレート等をデザインした別の素材を埋め込む技法。
ランドール
アウトドアスポーツマンナイフの原点ともいえるブランド。高級感あふれるナイフ作りで有名なランドールの歴史は、1938年、W.D.ランドール氏が27歳の時、自分用に使いやすいナイフを自作したことから始まっている。フォージング(鍛造)という手間のかかる製法でブレードを作り上げているが、これは最初に自作したナイフの製法を継承しているためである。同社の製品も品質の安定を維持するため、手作業で行われている。現在、息子・ゲーリー氏が継いでいるが、創業以来のナイフ思想は一貫しており、丹念な作りはまったく変わっていない。
ラブレス
ストック&リムーバル製法と呼ばれる、鉄の板から削りだしてナイフを作る製法を考案した、現代ナイフの父・R.W.ラブレス。